技能実習から「育成就労」へ農業の経営者が、いつまでに何を準備するか
公開 2026年11月5日
2027年4月、外国人の受け入れの制度が技能実習から育成就労に変わります。いまの実習生を雇い続ける場合と、これから新しく受け入れる場合で、することと期限は違います。農家・法人がすることを期限の順に並べ、農業ならではの決まりと、まだ決まっていないことを公式の資料から整理しました。
外国人の技能実習生に来てもらっている農家・農業法人も、これから人を迎えたいと考えている経営者も、2027年4月を境に、使う制度が変わります。新しい制度の名前は「育成就労」です。
よく「技能実習は2027年4月で終わる」と言われますが、正確ではありません。いま来ている実習生は、決められた計画どおりに続けられます。一方で、新しく技能実習で受け入れられるのは、決められた期限に間に合う人だけです。いまの実習生のことを考えるか、これから人を迎えることを考えるかで、することと期限が変わります。
農家・法人がすることと期限
| 時期 | 農家・法人がすること |
|---|---|
| いますぐ | ①いまの監理団体(実習生の受け入れを支える団体)に、育成就労の「監理支援機関」(育成就労の受け入れを支える団体)の許可を取るか聞く。監理団体とつながりが無ければ、許可を取る予定の団体を探す(許可の申請は2026年4月15日から受付中) |
| いますぐ | ②育成就労で受け入れるつもりなら、監理支援機関と一緒に、3年分の計画の中身(仕事・報酬・宿泊施設・日本語の講習)を考え始める |
| 手続きの公表の後 | ③農業育成就労協議会に入る。④育成就労計画の認定を申請する(申請の受付は2026年9月1日から始まっているが、農業では、申請に要る協議会の加入の手続きがまだ公表されていない。農林水産省の案内を確かめる) |
| 2027年2月まで(目安) | 技能実習で新しく受け入れるなら、1号の計画をこの時期までに申請する(機構の勧め) |
| 2027年3月31日 | 新しく技能実習を始める1号の計画の、申請の最後の日 |
| 2027年4月1日 | 育成就労が始まる。この日からは、1号の計画は申請できない(いまの実習生が2号・3号に進む計画は、この日以降も申請する) |
| 2027年6月30日 | 3月31日までに申請した実習生の、実習開始の期限(入国も原則この日まで)。間に合わなければ、技能実習では受け入れられない |
(計画の申請は、受け入れる農家・法人が、個人でも法人でも出す。申請先は外国人技能実習機構で、2027年4月1日からは外国人育成就労機構が引き継ぐ。育成就労計画の申請の手数料は1人6,100円で、別に払込のシステム利用料がかかり、払った後は返らない)
いまの実習生がいて、これからも人を迎える農場は、次の2つの節の両方が当てはまります。
いまの実習生を、引き続き雇う場合
2027年4月1日に来日している実習生と、経過措置で6月30日までに実習を始めた実習生は、認定された計画どおり続けられます。1号(1年目)を終えた人は2号(2〜3年目)に進めます。ただ、3号に進めるのは、4月1日の時点で2号を1年以上している人だけです。また、実習生の在留資格を「育成就労」に変えることはできません。
この場合にすること:
- 実習生ごとに、いまの号と、実習が終わる時期を一覧にする
- 2号の人が、2027年4月1日に2号を1年以上しているかを確かめる(3号に進めるかが決まる)
- 実習の後も残ってほしい人とは、特定技能1号(技能と日本語の試験などで認められる、働くための在留資格)に移る時期を話しておく。当分の間は、2号を良好に終え、仕事が関連していれば移れる
いまの監理団体は、実習生が残る間も、許可を保てば監理を続けられます。ただ、同じ団体に育成就労の受け入れも任せたいなら、その団体が監理支援機関の許可を取る必要があります。
これから新しく受け入れる場合
2027年4月1日からは、技能実習の新しい計画(1号)は申請できず、新しく受け入れるなら育成就労か特定技能になります。技能実習で受け入れられるのは、3月31日までに申請し、6月30日までに実習を始められる人だけです。この方法で来る実習生は3号に進めない(2号まで)ので、その後も働いてもらうなら、特定技能1号への移行を考えることになります。
育成就労で受け入れる準備:
- 監理支援機関を選ぶ
- 農業育成就労協議会(農林水産省が作った、受け入れる側の協議会)に入る。申請に加入の証明が要る
- 3年分の計画を作る。報酬は日本人と同等以上、宿泊施設を確保する
- 日本語の講習(働き始めるまでと、3年の間)の機会と、その費用を用意する
農業ならではのこと:
- 自分で雇う場合(監理支援機関を通す場合を含む)は、人を6か月以上続けて雇った経験(またはこれに準ずる経験)が要る。人を雇ったことのない家族経営の場合は、この条件に当たるかを監理団体や機構に確かめる。当たらない場合は、次の派遣の形も選べる(派遣先は、講習を受けた人を責任者に置けばよい)
- 派遣の形でも受け入れられる(農業と漁業だけ)。派遣会社と派遣先の農家が一緒に計画を作る。派遣先には、6か月以上の雇用の経験か、講習を受けた責任者が要る
- 農業では、労働時間・休憩・休日の決まりがかからない(労働基準法41条の適用除外)が、育成就労の人には、この除外を使わない。ほかの業種と同じく、時間外の割増賃金(残業代)も払う
- 季節の閑散期には、毎年同じ時期に、最大6か月の一時帰国を計画に組み込める。その期間は3年に数えず、旅費は監理支援機関が出す(監理支援機関を通す場合)
- 本人の意向で受け入れ先を変える「転籍」は、1年たってから、試験の合格などの条件つきで認められる
まだ決まっていないこと、見つけられていないこと
2026年11月5日時点で、公式に「今後示す」とされているもの:
- 農業育成就労協議会への加入の手続き(決まるまで、育成就労計画の申請の準備が進めにくい)
- 転籍のときに、新しい受け入れ先が元の受け入れ先に払う初期費用の基準額(人が移ったときの費用に関わる)
- 優良な監理支援機関の基準(受け入れられる人数の枠に関わる)
- 農業分野の運用要領(機構の分野別の一覧で、農業の欄はまだ空。機構は、分野別の運用要領は準備でき次第公表するとしている)
- どの国から受け入れられるか。協力覚書(国どうしの取り決め)を作った国は、この日時点で6か国。技能実習で多いベトナムやインドネシアは協議中で、まだ入っていない(機構は、ベトナム・インドネシアを含む協議中の国について、その国の推薦状をつけた申請を案内している)。迎えたい国が対象になるかは、監理支援機関に確かめる
今回の調べでは見つけられなかったもの:
- 農業の育成就労評価試験(転籍や移行に使う試験)の実施時期・場所・言語
決まり次第、この記事を更新します。
いまの農場の仕事のうち、3年後も外国から来た人に任せたい仕事は、どれでしょうか?
出典
- 出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」(Q1〜Q80) 公式
- 出入国在留管理庁「育成就労制度の施行に伴う技能実習の経過措置について」 公式(PDF)
- 出入国在留管理庁「育成就労制度の関係省令等について(概略図)」 公式(PDF)
- 別紙13「農業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針及び育成就労に係る制度の運用に関する方針」 公式(PDF)
- 出入国在留管理庁「育成就労に関する二国間の協力覚書」 公式
- 農林水産省「在留資格『育成就労』について(農業分野)」 公式
- 農林水産省告示第648号(令和8年4月30日)農業分野の上乗せ基準 公式(PDF)
- 外国人技能実習機構「育成就労計画認定施行日前申請」 公式
- 外国人技能実習機構「技能実習計画についてのご案内」 公式(PDF)
- 育成就労法(平成28年法律第89号、令和6年法律第60号による改正後、2027-04-01施行の未施行版)。e-Gov法令API v2、revision id `428AC0000000089_20270401_506AC0000000060` 公式
- 育成就労計画の認定申請手続(手数料等について) 公式(PDF)
- 分野別運用方針・告示・運用要領等 公式













