「降水確率30%」は、作業を止める数字か雨の量・時間帯・降った後まで、作業ごとに見る
公開 2026年11月3日
降水確率は、1mm以上の雨が降るかどうかの確率で、雨の量や降る時間帯は示しません。気象庁は量と時間帯を別の予報で出しています。散布の後の雨でどうなるかは薬剤や条件で違うことなど、県の試験の資料も見ながら、作業ごとにどの数字を確かめるかを考えます。
明日の天気予報に「降水確率30%」。散布はやめておくか、収穫を前倒しするか、それとも予定どおりか。毎日の作業の段取りは、この数字を見て決めることが多いと思います。
では、30%とは何の30%なのでしょう。気象庁の説明を読み直してみると、降水確率は、思っていたよりずっと狭いことしか言っていない数字でした。
先にまとめると
- 降水確率は「1mm以上の雨が降るかどうか」の確率。雨の量・強さ・降る時間帯は示さない
- 量と時間帯は、別の予報(3時間ごとの雨量、1時間ごとの雨量、雨雲の動き)で見られる
- どの数字で作業を決めるかは、作業ごとに違う。降水確率だけで一律には決められない
(1・2点目は気象庁の説明から、3点目は県の試験の資料とNouManの読み解き)
1.「降水確率30%」が言っていること、言っていないこと
気象庁の用語の説明には、ちょうど30%の例が載っています。
「降水確率30%とは、30%という予報が100回発表されたとき、その内のおよそ30回は1mm以上の降水があるという意味であり、降水量を予報するものではない。」
ポイントは三つです。
- 対象は「1mm以上」の雨。それより少ない雨は数えない
- 対象の時間は、明日までの予報では6時間ごと、週間予報では1日ごと
- 雨の量は予報していない
気象庁のよくある質問では、さらにはっきり書かれています。降水確率は「降水の有無のみについて確率を示すもの」で、雨が続けて降るのか途切れ途切れか、その時間帯のどこで降るのか、そして「降水量の多少については何も示していません」。
つまり、「12時から18時の降水確率30%」からは、その6時間のどこかで1mm以上降るかもしれない、ということまでしか分かりません。昼過ぎに一度ざっと降るのか、夕方に弱い雨が続くのか、量はどれくらいか。作業の判断に要ることの多くは、この数字の外にあります。
2.量と時間帯は、別の予報で見る
気象庁は、雨の量や時間帯を示す予報も出しています。
| 予報 | 分かること | 先の長さ |
|---|---|---|
| 降水確率(府県天気予報) | 6時間ごとに、1mm以上降るかどうかの確率 | 明日まで |
| 天気分布予報 | 5km四方ごとの3時間の雨量(「1〜4mm」「5〜9mm」など6段階) | 明日24時まで |
| 降水短時間予報 | 1時間ごとの雨量 | 15時間先まで |
| 雨雲の動き(高解像度降水ナウキャスト) | 雨の強さ | 1時間先まで |
| 解析雨量 | 直前の1時間に降った雨の量 | これまでの実況 |
| 週間天気予報の信頼度 | 3日先以降の雨の予報の確かさ(A・B・C) | 7日先まで |
(気象庁の各予報の説明から作成)
たとえば降水短時間予報は、6時間先までは1km四方ごとの1時間の雨量を、10分ごとに更新して出しています。ただし気象庁は、先の時間ほど精度が下がるので最新の予報を確かめること、局地的な大雨は今の技術では前もって予測しにくいことも書いています。
週間予報には、A・B・Cの信頼度が付いています。気象庁の説明では、2014年12月までの5年間のデータで、雨が降るかどうかの予報の適中率は、Aが平均88%、Cが平均58%でした。気象庁の利用例でも、同じ降水確率の日を、信頼度で比べて予定を決めています。
雨の強さには言葉の決まりもあります。1時間に10mm以上20mm未満が「やや強い雨」、20mm以上30mm未満が「強い雨」です。「小雨」は、数時間続いても1mmに達しないくらいの雨とされています。
3.作業によって、見るべき数字は違う
どの数字をどう使うかは、作業によって変わります。県の試験の資料を二つ見てみます。
佐賀県の資料(2020年、タマネギ、ジマンダイセン水和剤)では、散布から3時間までに雨が当たると薬剤の大部分が流れ、6時間たつと約3割が残り、24〜72時間たってからの雨では6割以上が残りました。資料は、この薬剤が雨に十分強くなるには散布後24時間は雨が降らないことが必要とし、天気の情報をもとに散布日を決めるように、としています。あわせて、6時間ほどでも予防の効果は期待できるが、残る量が3割ほどに減って効く期間が短くなるので、次の散布を早める、とも書いています。1時間25mmの雨で計100mmという、人工的に強い雨を降らせた試験の結果です。
青森県の資料(2009年、小麦の赤かび病、テブコナゾール水和剤)は、人工的に雨を降らせた試験で、散布の直後(穂が乾く前)に雨が降っても、試験で確かめた量より少なければ散布し直す必要はない、としています。
二つの試験は作物も条件も違うので、単純には比べられません。ただ、青森の資料は、赤かび病の薬剤の中でも雨に強いものがある、とも書いています。散布の後の雨でどうなるかは、薬剤や条件によって違う、ということです。二つの資料から考えると、散布で見たいのは、降水確率よりも、「散布の後、何時間、雨が降らないか」と、そのとき降る量です。薬ごとの扱いは、ラベルや、県・JAの防除の指導で確かめる必要があります。
耕うんや定植のように土を相手にする作業では、これから降る雨に加えて、すでに降った雨も効いてきます。古い研究ですが、島根県の試験(1966年、水稲の乾田直播。一つの圃場での結果)は、降った雨の量とその後の日数によって、けん引作業や砕土ができる土の状態が変わる、と推定しています。直前の数時間にどれだけ降ったかは、解析雨量で見ることができます。
NouManの読み解き事実を踏まえた、Workerプラス編集長の見方
ここからは、資料を読んで考えたことです。降水確率は、その日の段取りを考え始める入り口としては便利な数字です。けれど、「何%なら作業できる」という一つの線は、どの作業にも当てはまるものではありません。散布なら、散布の後の何時間が乾いているか。収穫なら、作業する時間帯に降るかどうかと、降った後に畑へ入れるか。耕うんや定植なら、すでに降った雨で土がどうなっているか。同じ「30%」でも、作業が違えば、確かめる数字が違います。
明日の作業を一つ思い浮かべてみてください。その作業にとって困るのは、「雨が降ること」でしょうか、「強く降ること」でしょうか、それとも「作業の後の何時間かに降ること」でしょうか。それが分かれば、見る予報も決まってきます。いつも同じ数字だけで決めている作業は、ありますか。
補足
この記事は、2026年11月3日時点の気象庁の公開資料と、佐賀県・青森県・島根県の試験研究の資料をもとにしています。県の資料は、それぞれの作物・薬剤・条件での結果で、ほかの作物や薬剤に当てはまるとは限りません。農薬を使うときは、最新の登録情報とラベルを確かめてください。
出典
- 予報用語(予報の名称に関する用語) 公式
- 知識・解説 天気予報 公式
- 天気予報・天気図について(よくお寄せいただくご質問) 公式
- 天気分布予報 公式
- 降水ナウキャスト、降水短時間予報 公式
- 高解像度降水ナウキャスト 公式
- 解析雨量 公式
- 週間天気予報 公式
- 予報用語(降水) 公式
- ジマンダイセン水和剤の散布から降雨までの経過時間が成分付着量に及ぼす影響(研究成果情報) 公式(PDF)
- 小麦の赤かび病に対するテブコナゾール水和剤(シルバキュアフロアブル)の茎葉散布では散布10分後頃の穂が乾く前に強い雨が降っても再散布は必要ない(指導参考資料) 公式(PDF)
- 中、大型機械による水稲乾田直播栽培に関する研究(第1報)播種作業について(研究報告第7号) 公式













