キャベツが千切りになるまでに、どれだけ減り、工場は何を見ているのか外葉と芯、大きさと巻き
公開 2026年11月1日

カット野菜の工場で多く使われるキャベツ。原料の歩留まり率は、2012年度の調査で回答の平均72%、工場によって5割未満から9割以上まで開きがありました。千切りでは外葉と芯が使えず、2018年の聞き取りでは60〜70%程度とされています。工場が見ている大きさ・巻き・揃い・中の傷みと、畑から工場までの取引の約束を、公的な調査と会社の公開資料からたどります。
袋を開ければ、そのまま食べられる千切りキャベツ。農畜産業振興機構が2012年度に行った調査では、回答したカット野菜の製造業者110社が使う原料の量のうち、キャベツが30.7%と最も多く、製品では千切りキャベツが20,761トンで最も多くなっていました。
気になったのは、丸のキャベツが千切りになるまでに、どれだけ減るのか、です。そして工場は、届いたキャベツの何を見ているのか。公的な調査と、パッケージサラダをつくる会社が公開している説明から、たどってみます。値段の内訳と動きは「キャベツの値段は、どこで変わるのか」で扱っているので、この記事では量を追います。
先にまとめると
- キャベツの歩留まり率は2012年度の調査で回答の平均72%。工場で大きく違う
- 千切りでは外葉と芯が使えず、2018年の聞き取りでは60〜70%程度
- 工場は大きさ・巻き・揃い・中の傷みを見る。産地ごとに評価を返す会社もある
(3点目の後半は、会社の説明から)
1.丸のキャベツから、どれだけが製品になるのか
工場に届いた野菜の重さのうち、製品として使えた分の割合を「歩留まり」と呼びます。
2012年度の調査(2012年11月〜2013年1月に実施)では、カット野菜の原料の歩留まり率を品目ごとに尋ねています。この2012年度の調査で、キャベツの歩留まり率の平均は72%でした。ねぎは81%、たまねぎは78%と高く、レタスは60%と低めで、多く使われる10品目の平均は73%です。
ただ、平均だけでは見落とすものがあります。キャベツの歩留まり率を答えた75社の回答を並べます。
キャベツの歩留まり率の回答(カット野菜をつくる事業者、社数)
※無回答は7社(図に含めない)。回答の平均は72%
※歩留まり率が、どの段階の重さとどの段階の重さを比べたものかは、報告の概要には書かれていない。業界の標準値ではない
対象: 回答したカット野菜の製造業者のうち、キャベツの歩留まり率に答えた75社、平成24年度(2012年度)の調査(2012年11月〜2013年1月に実施)/単位: 社/社数は公表値。10%刻みへのまとめはNouManの計算
出典: 農畜産業振興機構「平成24年度カット野菜需要構造実態調査事業 報告概要」(2013年1月)問5(PDF 10頁)
いちばん多いのは70%以上80%未満の35社。けれど、60%に届かない会社が2社ある一方で、歩留まり率が90%以上と答えた会社も4社あります。キャベツという同じ品目でも、工場によって答えた割合がこれだけ違う、ということです。なお、この歩留まり率が、どの段階の重さとどの段階の重さを比べたものかは、報告の概要には書かれていません。
もう少し新しい資料もあります。農畜産業振興機構が2018年7月に示した資料には、カット野菜事業者から聞いた話として、こう書かれています。
「キャベツから千切りキャベツ等に加工する際は、キャベツの外葉や芯が利用できないため、キャベツの歩留まりは60~70%程度、レタスであれば40~60%となることから、毎日大量の野菜残渣が発生する。」
統計ではなく聞き取りの幅ですが、何が減るのかははっきりしています。外葉と芯です。
芯だけなら、どれくらいでしょう。キユーピーのニュースレター(2023年5月)は、芯を「キャベツ全体の約10%を占める」と書いています。外葉をむき、芯を除く。そうして残った分が、千切りになって袋に入ります。

2.なぜ、工場によってこれほど違うのか
調査の報告は、聞き取りから分かったこととして、「同じ品目でもカットの内容によって歩留まりは大きく異なる」と書いています。聞き取りを受けた製造業者の大半は、品目と切り方(数センチ単位の違いも含む)、詰め方の組み合わせで、百種類以上の製品に対応していたそうです。ある加工では使わない部分を、ほかの売り先に回して歩留まりを上げる工夫も見られた、とあります。
届くキャベツの側でも違いが出ます。同じ調査の聞き取りには、こんなまとめがあります。
「歩留まりについては、ある程度大型の規格の方が良いという見解もあるが、大型化することによって味が落ちることや、規格が揃わないことによる作業ロスを危惧する意見も多かった。」
揃いについては、別の箇所で「不揃いな規格は品質や作業効率が落ちるため、比較的揃った規格を希望する声が多く聞かれた」とも書かれています。
外からは見えない部分もあります。石川県立大学名誉教授の小林茂典さんは、農畜産業振興機構の「野菜情報」(2025年4月号)で、家庭で使う野菜では外観などが重視されるのに対し、加工・業務用で求められる特性は用途によってさまざまで、カット野菜などの原料では、加工の歩留まりや作業性を高めるため大型の規格が必要になると書いています。そのうえで、キャベツやレタスなどでは、「褐変症などの内部障害のあるものは原料として使用されないため内部品質が大切」としています。2018年の資料にも、工場ではキャベツなどの葉物について「外葉を剥いたり、色の変色等について確認する必要」がある、という事業者の話が載っています。
では、カット野菜の原料の規格は、店に並ぶキャベツより緩いのでしょうか。2012年度の調査で、多く扱う3品目の取引の規格を尋ねたところ(複数回答、キャベツだけの数字ではありません)、「生食用ほど厳しくはないが、一定の規格の規定を満たした原料野菜」が131社、「生食用と同じような規格の原料野菜」が119社、「規格にはこだわらない」は21社でした。緩いとも厳しいとも、ひとことでは言えません。見る場所が違う、と言った方が近そうです。
品種の側にも動きがあります。同機構の「野菜情報」(2026年3月号)は、加工・業務用の需要が増え、「巻きが固く歩留まりの良い冬系の生産量が増加している」と書いています。
3.ある会社が見ているもの――サラダクラブの場合
工場が何を見ているのかを、一社の公開資料でたどります。サラダクラブは、洗わずにそのまま食べられるパッケージサラダを製造・販売する会社で、キユーピーと三菱商事の共同出資で1999年に設立されました。以下は、同社のサイトと発表資料にある説明です。ほかの会社に共通する基準ではありません。
同社のサステナビリティのページには、こう書かれています。
「独自の原料評価基準を設け、出荷団体ごとに納品された原料の野菜の大きさ、葉の巻き具合などを評価し、産地の方にフィードバックを行うことで、パッケージサラダの製造により適した原料を納入いただき、工場での廃棄物削減や作業効率向上、異物混入リスク低減に繋げています。」
評価の数値は公開されていませんが、同社のサイトで契約産地を紹介するページに、工場の側の言葉があります。同社の原資材部の担当者は、以前は工場で野菜の加工をしていた立場から、全国で1日に80万パック以上をつくるには「キャベツ1玉あたりの加工効率を上げることが大事」で、「玉の大きさや葉のつまり具合がバラバラだと作業効率が落ちてしまいます」と話しています。2022年には、群馬県の嬬恋村の産地に「もうすこし重量を増してほしい」と頼み、翌年には応えてもらった、とも語っています。
同じページで、嬬恋村のキャベツを同社に納める青果の卸売会社の担当者は、生産者を工場に招いて加工の様子を見てもらうと、「葉のつまり具合や玉の大きさなど、求める品質をすぐに理解してくれて、翌年のキャベツに確実に反映してくれる」と話しています。同社の鳥栖工場の担当者は、「きれいで大玉なキャベツは千切り加工に最適で、製造時間や従業員の負担を大幅に軽減してくれます」と言います。
生産者の側の言葉もあります。愛知県のキャベツ農家の集まり「てつコン倶楽部」の会長は、同社に出すキャベツは「通常のスーパー用に作るキャベツに比べて」玉が大きく重いのが特徴で、平均して2kgほどの重さがある、と話しています。大きさと味については、出荷する側として「キャベツは大きいほど食味が良くなります」とも話していて、2012年度の調査の聞き取りに出ていた製造業者の懸念とは、見方が分かれています。
外葉をどこでむくか、という話もあります。キャベツではなくレタスの例ですが、長崎県の農場は、同社の要望で一部のレタスを収穫時に外葉をむいて出荷しています。同社の担当者は、工場でむく工程を省けるうえ廃棄物を大きく減らせるとし、減ったコストは、商品の価格を抑えることにも、単価を上げて農場に還元することにも使っている、と説明しています。
2012年度の調査の聞き取りでは、大半の製造業者が残った野菜を産業廃棄物として処理し、堆肥や飼料にしている業者は一部でした。外れた外葉や芯の行き先を、同社はこう書いています。直営7工場で出る「野菜の外葉や芯などの未利用部を堆肥や飼料として契約農家などで活用いただいています」。その堆肥を使った契約産地から野菜を納めてもらう循環の取り組みも進めていて、主要野菜(キャベツなど)の未利用部の有効活用率は、2025年度の実績で100%と表に示しています。
量の多い時期の使い方もあります。2026年3月の期間限定で「千切りキャベツ ビッグパック」を、価格を変えずに260gから312gへ20%増量して販売すると発表しました。発表では、キャベツが旬を迎え豊作となる時期に合わせた企画で、キャベツの使用量を増やして契約産地の生産体制の維持と経営の安定化を応援する、と説明しています。
NouManの読み解き事実を踏まえた、Workerプラス編集長の見方
サラダクラブの説明を並べると、工場が見ているのは「重さ」だけではなく、一玉からどれだけ、どれだけ速く、安全に千切りにできるか、だと読めます。大きさや巻き、揃いを産地ごとに評価して返すのは、その見方を畑の側と共有するための仕組みとも言えそうです。ただし、評価の具体的な基準は公開されておらず、同社の取り組みが他社に共通するとも言えません。
4.畑から工場までの約束
工場の外、取引の段階でも量は動きます。
2012年度の調査では、カット野菜の原料の調達額のうち、契約取引が平均52.2%、市場取引が41.1%でした。契約で調達する品目として最も多くの会社が挙げたのはキャベツ(58社)です。2018年の資料では、カット野菜事業者は全調達量のうち「平均して7割程度が契約取引」で、不作に備えて販売量より「1~2割増しで契約を行っている事業者が3割程度」いる、とされています。調べた年も、額と量という測り方も違うので、契約取引が増えたとは比べられません。
契約したからといって、育てたものがすべて原料になるわけではありません。加工・業務用野菜を扱う中間事業者への2017年度の調査では、面積で契約している事業者について「一定の規格以上のものが買い付け対象となっており、生産されたものを全て買い付け対象にはしていることはなかった」と書かれています。契約取引で原料を調達している事業者154社に品目ごとに尋ねると、キャベツを面積契約で調達しているのは8.4%で、品目の中では最も高いものの、数量契約(59.7%)が主流です。
畑のキャベツが、千切りの製品になるまでに減るところ
※72%は切り方を分けていない回答の平均で、どの重さの比かは報告の概要に書かれていない。千切りについては2018年の聞き取りで60〜70%程度
対象: 加工・業務用のキャベツ(カット野菜の原料)、農畜産業振興機構の調査(2012年度・2017年度)と、2018年の資料/公的な調査と、カット野菜事業者からの聞き取りのまとめから並べた。矢印は流れを示すための並べ方で、すべての取引・工場に共通する手順ではありません
出典: 農畜産業振興機構「平成24年度カット野菜需要構造実態調査事業 報告概要」(2013年1月。聞き取りの残渣の処理はPDF 28頁)、「平成29年度 加工・業務用野菜の需要構造実態調査」(2018年6月)、「カット野菜事業者をめぐる情勢」(2018年7月27日)、サラダクラブ「サステナビリティ」
届いた原料に規格外のものが多いとき、工場はどうするのか。2012年度の調査で、多く扱う3品目について尋ねた答え(複数回答)は、「市場より調達」が116社、「納入先と納入数量の調整を行う」が104社、「規格外品を調達し、人員を増やして手作業で加工」が78社でした。報告は、歩留まりの悪いものを人を増やして加工するとコストがかかり、急に人も集めにくいため、市場からの調達を優先する傾向がある、と推察しています。
工場の先にも約束があります。2018年の資料によると、カット野菜事業者と小売店などとの取引は、「価格(固定)だけを決め、販売数量は納品日の直前に販売先から受注するケースが多い」。不作で野菜を市場から高く買っても納品価格は固定されているため、納品するほど損失が広がる、という課題も挙げられています。
国産が足りなかった年には、輸入が増えました。「野菜情報」(2026年3月号)によると、2024年は絶対量不足から加工・業務用向けを中心に前年の2倍の約2万3000トンに急増し、2025年のキャベツ(生鮮)の輸入は、その約3倍の7万5000トンになりました。不作で国産が高騰した2025年1〜3月は、「加工・業務用を中心に絶対量不足から輸入品の需要が高まった」と書かれています。
5.農家から見ると
ここからは、NouManの読み解きです。特定の会社が、特定の大きさや品種を求めているという意味ではありません。
NouManの読み解き事実を踏まえた、Workerプラス編集長の見方
- 出した重さと、製品になった重さは、別の数字です。 千切りでは外葉や芯の分だけ確実に減り、歩留まりの割合は工場によって大きく違うことが、調査から分かります。出荷した何kgのうち、相手の工場で何kgが千切りになったのか。取引先の歩留まりを知っているかどうかで、自分のキャベツの見え方は変わりそうです
- 減り方を左右するものの一部は、畑の側にあります。 玉の大きさ、巻き、揃い、中の傷み。ただ、大きければよいとも限らず、味や揃いを心配する声もありました。何が「使いやすい」かは、相手の用途と切り方で変わります
- 減る段階は、二つあります。 工場で外れる分と、その前に規格に入らず原料にならなかった分です。後者の割合は公的な数字では見つかりませんでした。面積契約でも規格以上だけを買う取引があります。規格に入らなかった分がどこへ行き、だれが負担するのかは、この記事で見た資料からは分かりません
- 評価が返ってくる取引もあります。 サラダクラブのように産地ごとに評価を返したり、生産者が工場で加工を見たりする例があります。いま出しているキャベツが、相手の工場でどう切られ、どこで手間がかかっているのか、聞いてみたことはあるでしょうか
袋の千切りキャベツの手前には、むかれた外葉と抜かれた芯があり、その手前には、規格に合わせて選ばれた玉があります。その一袋をつくった工場が何を見ていたのかを知ると、畑で見ている一玉も、少し違って見えてくるかもしれません。
補足
この記事は、2026年11月1日時点の公開資料をもとにしています。最新情報は、各社・各機関の公式サイト等でご確認ください。
出典
- 平成24年度カット野菜需要構造実態調査事業 報告概要 公式(PDF)
- 平成29年度 加工・業務用野菜の需要構造実態調査 公式(PDF)
- カット野菜事業者をめぐる情勢(平成30年度第1回野菜需給協議会 資料3) 公式(PDF)
- 小林茂典「加工・業務用野菜の生産・供給拡大に向けた取り組みの方向」(野菜情報 2025年4月号) 公式(PDF)
- 今月の野菜「キャベツのあれこれ」(野菜情報 2026年3月号) 公式(PDF)
- NewsLetter No.43「実は甘い!キャベツの芯でおいしくごみゼロへ」 公式(PDF)
- サステナビリティ(企業サイト) 資料を開く
- 契約産地との取り組み(JA嬬恋村/てつコン倶楽部/有限会社松山ファーム/株式会社フレッシュダイレクト) 契約産地の紹介の一覧
- 「千切りキャベツ ビッグパック」「ミックスサラダ ビッグパック」3月1日(日)より20%増量! 資料を開く
- 品種を指定した九州産、神奈川県三浦産の春キャベツを使用「旬を味わうサラダ 春のキャベツミックス」 発表(PDF)














